枕の上で夢に溺れて

極上の寝具で眠りたい

生活の狭間にて

 後回しにしていた生活にまつわる面倒事のあれこれをたくさん消化した。

 後回しにしていたのはほかでもなく「面倒臭かったから」なのである。送られてきた書留や請求書とにらめっこをしながら「こいつらさえやっつけられれば…」と思いながらも、明日には必ずなんてできもしないことを思いながら放り投げてしまっていた。

 

 今日は違った。というかもう期限が目と鼻の先だったのだ。負けるわけにはいかない。ちゃんとこの「生活」に勝たなければいけない。岩のように重い腰をなんとか持ち上げて「片付け」へと出掛けた。

 

 通信契約の更新と解約。コイツが一番の曲者だった。本来オンラインでさくっと済ませたかったのだが、ややこしい契約の仕方をしてしまっていたせいか、ショップでしか手続きができない様子だったので、仕方なくショップへ向かった。

 ショップは苦手だ。これをこうしたいとしっかりと伝えても、素直にハイと返事をして、その手続きにそのまま入ってはくれないのだ。あちらも商売である。売りたいものがあって、安くなったように見える魔法みたいなプランを用意し、それをどうにかして契約にこぎつけたいのだ。

 終盤まですっかり飲まれていた。不思議なもので何故だか得するように見えてしまうのだ。その上悪い意味でお人好しのせいで「そんなんいらんて」がなかなか言えないのである。相手もその性質を見抜いたかのように、やたらと情で訴えかけてくる。卑怯だにもほどがある。

 案内された新しい契約に対して曖昧な相槌を打ち続け、いよいよ窓口の席に座らせられ身分証を提示し「それではこのような形で進めさせていただきますね」という「チェックメイト」にしか聞こえなかった台詞を突き付けられ、誰もが「こりゃ負けだな」と諦めるところまで追い込まれたが、そんな土壇場でどうにか跳ねのけることができたのだった。明日の朝刊の見出し級の奇跡の逆転劇。万歳三唱。

 

 このまま何もできずに負け続けるだけの人生になってしまう気がして、こいつらをやっつけて勝たないとこれからずっと何にも勝てないような気がして、なんていうか、怖かったのだ。

 完全に負けたと諦めてしょうもない契約を結ぼうとしていたとき、ふと「これで本当にいいのか」という強い意志に背中を叩かれて、そうだ、今日は勝ちに来たんだ、こんな情けない思いをしに来たんじゃない、相手に飲まれるだけ飲まれて帰るだけなんてたくさんだったのだ。

 

 6月も終わり、いよいよ2017年も下半期へと突入する。ここでしっかり勝っておきたかったのだ。止めるもん止めて、変えるもん変えて、払うもん払って、生活を整えておきたかったのだ。

 

 ただそれだけの話だ。

 なんていうか、あまりに自らの都合の話すぎて、書いている途中で飽きてしまったというか、うんざりしてしまった。